長崎県弁護士会

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長崎県弁護士会 会員 川島陽介

 

 「第三者委員会」。最近よく耳にするニュースワードです。
 文字通り、組織等とは別の第三者で構成される委員会のことで、不祥事等が発生した組織等において、その不祥事の調査・原因究明などを行うために設立されるものです。私企業における不祥事に限られず、公的団体における不祥事、介護施設における虐待事案、学校におけるいじめ事案等においても利用されることがあります。
 今話題となっているテレビ局の事案においても、第三者委員会を設けるとの話がありました。当初、テレビ局は、第三者委員会について、原因究明の迅速性を理由に第三者の弁護士を中心とした内部者も関与する調査委員会を設置すると表明していましたが、株主等から厳しい批判がなされ、「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会」を設置することとしました。
 「日弁連のガイドライン」というと何となく“きちんとしているもの”とイメージされた方が多いのではと思います。しかし、その内容については「?」という方も多いのではないでしょうか。
 日弁連のガイドラインは2010年7月に策定され、正式名称を「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」といいます(以下「本ガイドライン」)。
 本ガイドラインは、第三者委員会が企業等の活動に直接間接に利害関係を有する者(以下「ステークホルダー」)のために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的として掲げています。 この目的を達成するため、企業等と利害関係を有するものは委員となれず、委員会は、企業等から独立し中立・公正な立場であること、その独立性の担保のため委員の報酬は原則として時間制であることが求められ、また、その行動指針として、①委員は法的評価のみにとらわれず、ステークホルダーの視点に立った事実評価・原因分析、再発防止策の提言を行う、②調査により判明した事実・評価については、企業等の経営陣に不利な場合であっても報告書に記載する、③企業等に調査報告書の事前開示を行わない等といったことが規定されています。
 テレビ局の事案では、当初、先述のように内部者の関与が予定され、企業から独立した第三者のみで委員が構成されないことから、その中立性に強い疑念がもたれ、株主等から、意図的な真相隠蔽を図ったと感じられるとの厳しい批判がなされ、結果として、本ガイドラインに基づいた第三者委員会が設立されるに至ったのでした。
 3名の弁護士が委員として選任され、補助者として20人程度の弁護士も関わり、極めてタイトなスケジュールとなっていますが、3月中には調査報告書が出されるとの報道がされています。この調査報告書が出される際には、新たにニュースとして報じられることになりますが、テレビ局ということもあり、みなさんも視聴者という立場でステークホルダーの一人になります。内容に着目してください。

 

(2025年2月23日 長崎新聞「ひまわり通信・県弁護士会からのメッセージ」より抜粋)

 

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