長崎県弁護士会

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 昨日午後7時50分ころ、長崎市大黒町のJR長崎駅前で伊藤一長長崎市長が暴力団幹部に背後から短銃で銃撃され、死亡するという事件が発生した。 同市長は、今月22日投開票の統一地方選の同市長選に立候補しており、選挙期間中の凶行である。

 今回の事件の動機ないし背景については、一部報道により、犯人の行政に対する不満が報じられているが、未だ捜査中であり、真相解明は司直の手に委ねられている。しかしながら、その動機がいかなるものであれ、現職の市長に対し、市長選の選挙期間中を狙って行われた銃撃行為は、政治活動に対する重大なテロ行為にほかならない。

 長崎市においては、1990(平成2)年1月18日にも、当時の本島等長崎市長が右翼団体の構成員から背後から銃撃されるという事件が発生した。2006(平成18)年8月15日には、山形県鶴岡市内の衆議院議員加藤紘一氏の実家と事務所が放火されるという事件も起きている。このように相次いで発生している政治テロ行為は、標的となった当該政治家のみならず他の政治家や諸団体の政治活動および言論の自由を抑制し、それを萎縮させかねない民主主義に対する重大な挑戦であり、断じて許すことはできない。

 さらに、今回の暴力団幹部によってなされた市長に対する凶行は、自らの主張や要求が通らないときは、暴力をもって報復することも辞さない暴力団の凶暴性、反社会性を如実に現しているものであり、公正、公平であるべき行政の健全性を阻害するものであるとともに、市民生活の平穏に対する重大な脅威であり、その卑劣さには強い憤りを禁じえない。

 我々長崎県弁護士会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという弁護士の使命に照らし、今回の政治活動の自由及び民主主義に対する否定行為であるテロ行為・暴力に厳重に抗議する。また、長崎県弁護士会は、引き続き、関係諸団体と一致団結し、暴力団の追放と壊滅に最大限の努力を傾けることを改めて決意するものである。

 最後に、志半ばで凶弾に倒れた伊藤市長のご冥福を衷心からお祈りする。

 

2007(平成19)年4月18日

長崎県弁護士会
会長 山下俊夫