長崎県弁護士会

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長崎県弁護士会 会員 今井悠人

 

 ある日、突然自分や家族が犯罪の被害に遭ってしまったら、あなた自身や遺族は、どのような状況に置かれることになるのでしょうか。
 被害者や遺族には、恐怖や深い悲しみに襲われ、眠れない日々を過ごす方がいます。加害者に自宅を知られたために引越しせざるを得なくなる方もいます。怪我の治療のために入院や幾度もの通院を余儀なくされる方もいます。仕事を休まなければならなくなり収入が途絶えてしまう方もいます。警察での事情聴取や現場検証に協力し、何度も嫌な記憶を思い出さなければならなくなる方もいます。
 被害後の日常生活の変化は、事件が重大であるほど深刻なものになります。世間の耳目を集める事件では、被害者や遺族にも取材対応が必要になることがあります。インターネット上に真偽不明の情報や誹謗中傷の言葉が並ぶこともあります。被害者が死亡した事件では、葬儀に際して故人を偲び悲しみに暮れる時間的、精神的余裕が失われてしまうことさえあります。
 被害者や遺族がこのような事態に直面した際、全てを自分の力だけで解決することはできません。全国各地にある被害者支援センターによるサポート、国の犯罪被害給付制度、各自治体の条例に基づく見舞金等の支給が受けられたりするなど、被害者や遺族を支援する様々な制度が用意されています。
 他方、被害者や遺族が弁護士による専門的な法的支援を受けるためには、必要な弁護士費用を原則として自ら負担しなければなりませんでした。被害者や遺族が被害者参加制度を利用して加害者の刑事裁判に主体的に関与したり、民事裁判を起こす労力を軽減する損害賠償命令制度を利用したりする上で、弁護士の法的支援が必要になることは珍しくありません。ほかにも、告訴状の提出、マスコミからの取材への応対、加害者の弁護人との示談交渉など、法的支援を要する手続は数多くあります。にもかかわらず、刑事裁判での国選被害者参加弁護士制度等の限定的なものを除き、被害者や遺族は自らその費用を負担しなければならなかったのです。これまでも弁護士会の支援制度等はありましたが、この費用負担の問題が、弁護士から支援を受けることにとっての高い障壁になり、被害者や遺族が真に必要とする法的支援を受けるには不十分な状況でした。
 このような状況の改善の必要性が叫ばれてきた結果、昨年、法律が一部改正され「犯罪被害者等支援弁護士制度」という新しい制度が創設されるに至り、来年4月までに運用開始される予定となりました。これにより、殺人罪、危険運転致死罪などの遺族や性犯罪の被害者は、被害直後の早期の段階から、法的支援を必要とする様々な問題について、包括的かつ継続的に、原則として自ら費用を負担することなく弁護士に依頼することができることになります。運用のあり方等については現在検討されているところです。被害者支援に携わる弁護士として、被害者や遺族がお金の心配をせずに必要な法的支援を受けて真の被害回復ができるよう、少しでも使い勝手のよい制度となることを期待しています。

 

(2025年7月20日 長崎新聞「ひまわり通信・県弁護士会からのメッセージ」より抜粋)

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