長崎県弁護士会会員 竹口将太
皆さんは、死刑制度について考えたことがありますか。現在、国際社会では死刑廃止に向けた各国の取組みが活発になっています。日本でも、2016年に日弁連(日本弁護士連合会)が「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択する等、死刑廃止に向けた取組みが進められてきました。
とはいえ、死刑制度については、廃止すべきなのかそれとも存置すべきなのか、国民の中でも様々な意見があることは日弁連も承知しています。
そのような中、内閣府により、2024年10月に死刑制度に関する事項も含めた世論調査が実施され、2025年2月に結果が発表されました。結果は、「死刑もやむを得ない」という存置の回答が83.1%でした。この結果を単純に受け止めると、国民の多数が「死刑を存置すべき」と考えているという結論になろうかと思います。
もっとも、調査方法が与えられた選択肢のなかから回答を選ぶ方法にすぎないものであったことから、日弁連や学者により、国民の真意をどう読むべきかという検証が進められています。存置の回答の7割以上が「政府が死刑廃止を決定するのであれば受け入れる」という回答だという検証結果もありますし、存置の回答のうち、「状況が変われば将来的には死刑制度を廃止してよい」、「仮釈放のない終身刑を導入した場合は死刑を廃止する方がよい」という回答がそれぞれ3割以上だという検証結果もあります。
ここで、死刑制度を廃止するとなれば、国民の皆様としては「どうして加害者ばかりを守るのか」と思うのではないでしょうか。
もちろん私もそう思います。死刑制度を廃止すべきという意見の理由のひとつに、冤罪で死刑になることがあってはならないというものがあります。しかし、明らかに冤罪でない事件も数多くあります。
死刑制度を考える際、冤罪の発生の危険ばかりでなく被害者やご遺族の方の救済や支援のことがもっと考えられるべきだと思います。
一方で、死刑制度を考える際に問題となるのは、「死刑制度をどうすべきかを判断するための情報の多くが、いまだに国民の皆様に開示されていない」という点です。
現在、死刑制度を含めた現状の刑罰制度の内容が大きく変わりうる状況にあります。だからこそ、国民の皆様に死刑や刑罰制度について考えていただくために、情報がもっと開示されて、もっと議論される必要があります。
そこで、2024年、日弁連を事務局として、国民各界及び各層の皆様により十分な情報のもとに活発な議論が行われること等を目的とした「日本の死刑制度について考える懇話会」が設立されました。そして、同年のうちに同懇話会の報告書により死刑制度に関する検討を行う公的な会議体が設置されること等が提案され、いよいよ議論の土台が整おうとしています。
長崎県弁護士会でも、議論の一助となるよう、今後死刑制度をテーマにした市民の皆様向けのイベントを開催していきたいと考えています。
(2026年1月11日 長崎新聞「ひまわり通信・県弁護士会からのメッセージ」より抜粋)













