長崎県弁護士会

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長崎市栄町1番25号長崎MSビル4F
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  1. 1 1979年(昭和54年)に鹿児島県の大崎町で男性の遺体が発見されたといういわゆる大崎事件の第三次再審請求事件について、最高裁判所第一小法廷は、本年6月25日、鹿児島地方裁判所の再審開始決定及び福岡高等裁判所宮崎支部の即時抗告棄却(再審開始維持)決定を取り消し、再審請求を棄却する決定をした(以下「本決定」という。)。
     この決定は、最高裁が検察官の特別抗告には理由がないとしたにもかかわらず、再審請求を棄却するという前例のない決定を行ったものであり,手続的にも結論においても不当である。
     
  2. 2 大崎事件は、原口アヤ子氏が、元夫、義弟との計3名で共謀して被害者を殺害し、その遺体を義弟の息子も加えた計4名で遺棄したとされる事件である。原口アヤ子氏は、逮捕時から一貫した無罪を主張していた。しかしながら、「共犯者」とされた元夫、義弟、義弟の息子の3名の自白、法医学鑑定、共犯者の親族の供述等を主な証拠として、原口アヤ子氏に対し、懲役10年の有罪判決が下された。
     
  3. 3 本件に対する再審請求は三度に及んでいる。
     第三次再審請求審(鹿児島地方裁判所)は、2017年(平成29年)6月28日、新証拠である法医学鑑定人、供述心理学鑑定人の証人尋問を行い、証拠開示についても積極的な訴訟指揮を行った上で「殺人の共謀も殺害行為も死体遺棄もなかった疑いを否定できない」と結論付けて、本件について二度目となる再審開始決定をした。福岡高等裁判所宮崎支部においても、再審開始の結論を維持し、検察官の即時抗告を棄却して、再審開始を認めた。この福岡高等裁判所宮崎支部の決定に対し、検察官は特別抗告を申し立てた。
     今回、最高裁判所第一小法廷は、検察官の特別抗告には理由がないと判断した。最高裁判所の判断すべきことはそれだけでよかった。にもかかわらず、最高裁判所は、あえて職権により、地裁及び高裁が行った事実認定に踏み込んで、原決定及び原々決定をそれぞれ取り消した上、審理を高裁に差し戻すことなく、自ら再審請求を棄却するという前例のない決定を行ったのである。
     
  4. 4 下級審が丁寧な事実認定を積み重ねて再審開始を認めたのに対し、本決定は、書面審理のみで下級審の判断結果を覆し、自ら再審請求を棄却したのである。このようにして決定を行った最高裁判所の姿勢は、再審制度の無辜の救済の理念や「疑わしい時は被告人の利益に」と明言した白鳥・財田川決定に反するというべきである。
     最高裁判所は、検察官の特別抗告には理由がないと判断したのであるから、再審開始決定を確定させた上で、事実認定については、再審公判の裁判所の慎重な判断に委ねるべきであった。
     
  5. 5 よって、当会は、適正な刑事手続の保障を希求する法律専門家の団体として、本決定について強い憤りを込めて抗議するものである。
     

2019年(令和元年)8月19日

長崎県弁護士会
会長 森 永 正 之
ひまわり相談ネット

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