長崎県弁護士会

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 本年5月23日、いわゆる「共謀罪法案」が衆議院で、議論が十分に尽くされないまま可決されました。

 

 当会においては、2017年(平成29年)2月14日付けでいわゆる共謀罪法案に反対する声明を発しました。

 ところが、衆議院での同法案の審議では、当会が指摘した問題点が何ら解決されないまま採決が行われました。

 

 すなわち、そもそも立法事実があるのかどうか、国連越境犯罪防止条約の要請とはいえないのではないか、処罰対象となる組織的犯罪集団や準備行為の内容が不明確であり一般人が処罰の対象になりかねないのではないか、内心を処罰することとなり日本の刑事法体系の基本原則と矛盾、抵触するのではないか、「計画」を処罰対象とするため、電話、電子メール、SNSサービス、ネット上の書き込みなど全ての意思疎通が警察の捜査の対象となり、そのため、警察が捜査の対象であると判断した場合には、あらゆる団体のあらゆる意思疎通の手段が捜査の対象となる危険性を孕んでいるのではないか、などの問題点は解決されないままなのです。

 加えて、「テロリズム集団」の正確な定義について答弁が避けられ、また、同法案は、既に存在する法律よりも、テロ行為を予防する効果があるか否かという根本的な問題点もあります。

 

 いわゆる共謀罪法案は、衆議院で可決された現在においてさえ、これらの重要な疑問点が残された法案です。これらの疑問点が残されたまま、参議院においても、十分な審議がされずに採決されることは許されません。

 当会は、共謀罪法案が採決により衆議院を通過したことに強く抗議するとともに、参議院における、同法案の慎重な審議と、同法案の否決及び廃案を求めます。

 

2017年(平成29年)5月31日

長崎県弁護士会
会長 川 添   志